Chapter 1日特の歴史

日特のはじまりは、たった1つの機種から日特のはじまりは、たった1つの機種から

会長 薦田 敏幸

会長薦田 敏幸

1986年12月、愛知県に当社の前身となる「株式会社 日本特殊マイク製作所」を創業しました。はじまりは、たった1つの機種を製作するところからスタート。当然ですよね、できたばかりの会社にすぐに開発や製造をお願いしてくれるわけではありませんから。とにかく、技術を認めてもらうためにはお客さまに喜ばれる商品を完成させなければいけないという想いで必死でした。

創業当時の社名看板

創業当時の社名看板

それから少しずつお仕事をいただくことができて、アイテム数も増えてきました。とは言え、そのころはまだ現在のように一般の皆さんがイヤホンやヘッドホンを使って音楽を聴く時代ではありませんから、ほとんどがプロの方々が仕事で使用されるヘッドホンの製造です。厳しいチェックを何度も繰り返し、修正を重ねていった上で最終形に。その後商品として世に出たときには、うれしいというよりもホッとしました。

開発・設計に没頭する日々開発・設計に没頭する日々

今でこそ、3D-CADを使って設計図を書いたり、デザインスケッチしたりしていますが、昔はエンピツと定規だけ。机に向かって、ひたすら時間を忘れて設計図を書いていました。機種によって違いはありますが、1つの設計図を基におおよそ5~7個位の金型をつくり、それらが問題ないかどうか確認をしてから、試作品製造の工程にうつります。そして、ファーストロットができたとき、自分たちの設計したものが“カタチ”になることの喜びと同時にその商品を使用される人へ“音を伝える”ことの責任を感じます。

私たちのつくるイヤホンやヘッドホンは、音の演奏者と聴き手の人生を繋げる“大切な道具”だと考えています。その考えを礎に、時代の変化にも対応しながら開発・設計を続けてきました。たった1つの機種からはじまった当社ですが、今では約100種ものアイテム数をかかえる程になり、世界的な音響メーカーである主要取引先から「フラッグシップ」といわれる高額のヘッドホン製品の開発を任されるほどに成長することができました。

Chapter 2音づくりの魅力

ヘッドホンは“おまけ”だった時代ヘッドホンは“おまけ”だった時代

技術部長 高島 薫

技術部長高島 薫

私は大学卒業後、ヘッドホン専業メーカーに就職し、今日に至るまで40年以上イヤホン、ヘッドホンの設計に携わってきました。電気系統の大学に進学して、電気機器の考え方や構造に関して学んだのですが、それ以前に趣味として音楽を聴くことが好きでしたからそれが私の人生の原点かも知れません。私が子どものころは、レコードプレーヤーを買うなんていうことはとても贅沢な時代でした。我が家に初めてステレオセットが来たのは中学生の時だったと思います。レコードをかけて音を聴いたときの衝撃は今でも忘れません。“こんなにいい音がするんだ”と感じましたね。

今振り返ると、1970年代がオーディオ業界の急成長した時期でした。でも、まだそのころは私もヘッドホンというものを全然分かっていなかったですし、オーディオ業界そのものが黎明期でしたから、ヘッドホンは“おまけ”みたいなものでした。その後、持ち歩けるポータブルテープレコーダーが1979年に発売されて大ヒット商品となり、一気にヘッドホンの市場が拡大したのです。

時代を越えて、ニーズにあった音づくりを時代を越えて、ニーズにあった音づくりを

技術部長 高島 薫

ヘッドホン市場が拡大してアクセサリー関係に注目が集まるようになり、ひたすら設計の技術を学びました。それから数年して私が最初に設計したヘッドホンが発売されたときは非常に感慨深かったですね。自分の手掛けた商品というのは、やはり何年たっても誇らしいもので、好きなことがそのまま仕事に活かせている醍醐味だと思っています。

ただ、世の中は常に変化を続けています。音そのものは時代を越えても変わらないと思いますが、機器の方、つまりヘッドホンだけで音を出すわけではないので相手の機器によって大きく左右されます。その変遷が大きいですね。性能はもちろん、形状、素材、アナログからデジタルへ、さらにはその時代のブームもあります。それは、使う人のニーズに合わせた音づくりが必要だということになりますから、ヘッドホンも変化、進化し続けていかなくてはいけません。

“いい音”。それは温かみのある音だと思います。それを聴き手に伝えられるかどうか、そこに、音づくりの魅力があるのではないでしょうか。

Chapter 3失敗するセンス

日特のはじまりは、たった1つの機種から長年の経験と自分の技術を信じて

会長 薦田 敏幸

会長薦田 敏幸

私は常に、自信をもってお客さまにすすめられるイヤホン、ヘッドホンを完成させるための音づくりに取り組んできました。開発・設計という技術職なので堅い仕事ですが、“ものづくりのセンス”というものが必要だと思っています。

とは言っても、これまですべてが成功してきたわけではありません。むしろ失敗の方が多かったかも知れませんね。金型まで完成したのに、使えずに捨てなければいけなかったことも何度もありました。でも最後まであきらめずに調整し、納得のいくものに仕上げてきたことで、経験を積み技術が向上してきたのだと確信しています。そこには“失敗を単なる失敗で終わらせないセンス”があったのだと考えています。

ぜひ、若い方たちには我々が培ってきた技術をどんどん盗んでもらいたいと思っています。当社では、製品開発から完成まですべてのプロセスに関わることができますので、ものづくりの喜びを実感できると同時に技術を磨くことができますからね。怖がらずにたくさん失敗して何度も考え直し、失敗するセンスを磨き、最高の“音づくり”に辿り着いてほしいと思います。

お客さまに喜ばれるものづくりとはお客さまに喜ばれるものづくりとは

会長 薦田 敏幸

私たちにとってのお客さまは、もちろんイヤホン、ヘッドホンを実際に使用される方々ですが、その前に各メーカーの要望をクリアする必要がありますので、一番近いお客さまがメーカーご担当者の厳しい目です。ですから、開発・設計工程が終わったら役目が終了ではなく、金型の確認、試作品の確認など工程毎の状況もきちんと把握・確認しています。金型は、協力会社である中国の工場で製造していますので、納得のいくものができるまで何度でも出向き、調整しているのです。中国には観光ビザで入国しますので、時にはビザの期間では足りずに一度出国して、また入国するということもありましたね。

そういったこだわりがメーカーの方にもご満足いただき、その先のお客さまにも愛される製品につながっているのだと思います。しかし、この業界は時代の流れやブームもあり、おおよそ3~4年でモデルチェンジをする製品が多いのも事実です。そのような中で、長年愛用されている製品を目にした時、この仕事を続けてきたやりがいを感じました。

Chapter 41つのことを極める

目には見えない、確実に伝わるもの目には見えない、確実に伝わるもの

技術部長 高島 薫

技術部長高島 薫

イヤホン、ヘッドホンの設計に携わり40年以上が過ぎました。ヘッドホンから聞こえる音づくりの仕事とは言っても、生の音楽を直接自分の耳で聞き分けることがとても重要だと思っています。そのためには、CDなどプレーヤーからの音だけを聞いていてはだめですね。生の音、特に楽器の音を生で聞くのは良いことだと思います。幅広くいろいろな楽器の音を生で聞いて、それを忠実に表現できているかを突き詰めることが私の信念でもあります。

私たち『株式会社 日特』の目指す、プロの演奏者たちが伝える「想い」「感情」をきちんと聴き手へ伝えること。そんな「音を伝える道具」に演奏者の命を吹き込む「音づくり」に、一心に取り組んでこられたことをとても誇りに思っています。

そしてその技術は、わずか数ミリの細いケーブルの中を通っていくものなんです。色や形など目には見えませんが、その細い道を通って皆さんの耳に届き、その心地良い音を耳だけではなく全身で感じていただく。その時が、私たちの作ってきたものが生き生きとする瞬間ですね。

大事な経験と、邪魔をする経験大事な経験と、邪魔をする経験

技術部長 高島 薫

私たちの時代は、エンピツと定規だけを使って設計図を書いてきました。どんな作業をするにしてもアナログでしたからね。その頃は、音楽もアナログの時代です。

そして今、設計図は3Dソフトで作成できる時代になり、音楽も新しいジャンルがどんどん生まれています。ですから、イヤホン、ヘッドホンもそれに対応していかなければいけません。そこで大事なものは、長年の経験や知識です。私も先輩からたくさんの素晴らしい技術を教わりましたし、受け継いでこられたと思っています。これからは次の世代に継承していこうと考えています。

しかし最近特に感じているのが、その“経験”が邪魔をすることもある、ということです。時には若い人たちの方が、柔軟な発想で新しいアイデアを出せることもありますからね。例えば、20年、30年前に私が考えて商品化できなかったアイデアがたくさんあるのですが、今なら材料や加工などの技術が進化して、さらに若い人たちのアイデアと融合して実現できるのではないかと期待しています。

Chapter 5昔の音・今の音

昔も今も、耳だけでなく全身に伝わる音を昔も今も、耳だけでなく全身に伝わる音を

技術部長 高島 薫 会長 薦田 敏幸

技術部長 高島 薫  /  会長 薦田 敏幸

昔は、エンピツで図面をひとつひとつ細かく書くという2Dの世界から始まりました。オーディオ機器側も性能やバリエーションなど、今とは比べものにならないくらいです。それが今では、複雑な設計図も見えない裏側まで3D-CADで書くことができるようになりました。以前は2Dの図面を、頭の中で3D化していましたからね。その時代や機器に合わせて、演奏者の想いが届く最高の音を伝えるために、昔も今も変わらず日々努力を積み重ねています。

実は、“音”は高音を伸ばしたり、中低音を膨らませたりなどの加工をすることができます。ですが、当社の音づくりは原音に忠実です。それが日特の音作りの基本となっていますので、メーカーの方にも信頼をいただいている技術だと自負しています。

これからの音を伝える新しいヘッドホンへこれからの音を伝える新しいヘッドホンへ

技術部長 高島 薫 会長 薦田 敏幸

これまで培ってきた技術と経験を生かし、そこに新たなアイデアも柔軟に取り入れ、さらに次世代の音を伝えるヘッドホン・イヤホンの開発・設計を続けていかなければいけないと考えています。現在はアイテムも100種を超え、アクセサリー感覚で使用できる使い勝手に優れたものから、不要な振動を抑制してクリアな音・美しい響きを実現するプロ仕様のものまで幅広く対応していますが、この先もっと“日特の音域”を広げてさまざまなジャンルやメーカーに対応できる製品を開発していきたいですね。

私たちの作る製品で、日本の音楽の環境を変えていきたい、そして世界に当社の音づくりを送り続けたいのです。私たちが常に、自信を持って世に送り出してきた製品は、音に素直なんです。それが当社の強みでもあり、築いてきた信頼と実績だと思っています。

ぜひ、“made by NITTOKU”に触れてみてください。

株式会社日特集合写真